僕のバンドには売り子を頼む余裕がなくて、ライブが終わると汗だくのまま自分で物販台に立っていました。効率だけ見ればひどいやり方です。息は上がっているし、次のバンドの音で声も通らない。CDが飛ぶように売れるわけでもない。
でも、あとから気づいたことがあります。うちのリピーターは、ほぼ全員、物販台で会話した人でした。
売れた枚数より、交わした言葉の数
理由は単純です。音楽を聴くだけなら家でもできる。でもステージにいた人間と言葉を交わすのは、その場でしかできません。「観た」が「会った」に変わる。この変換が、ただの観客を「関係がある人」に変えます。
ファンには階段があります。あなたを知っている(認知)、親しみを感じて言葉を交わしたことがある(関係)、時間とお金を使って会いに来る(行動)。動員を決めるのはフォロワー数ではなく、2段目にいる人の数です。物販台は、その2段目への入口です。
物販台はレジではなく「一対一になれる唯一の場所」
だから、売ることより覚えることを優先していい。顔を、名前を、今日何度目の来場かを。「前も来てくれましたよね」の一言が言えるようになったとき、その人の中であなたのバンドは「知ってるバンド」から「自分のバンド」に変わります。
実践のポイントは3つです。終演前にステージから「このあと物販にいます」と伝える。物販台は売り物より立ち話のスペースを優先した配置にする。列ができたら一人あたり10秒でいい、目を見て話す。
接点を一度きりで終わらせない
そしてもうひとつ。物販台での会話を、その場限りにしないこと。LINE公式のQRコードを物販台の見える場所に置いて、「次のライブのお知らせを送ります」と一言添える。接点が一度きりで終わると、その人はファンではなく通りすがりになります。通りすがりにしたのは、こちら側です。
動員は当日の演奏だけでは決まりません。演奏の前後にある、こういう地味な動きの積み重ねで決まります。次のライブ、物販台に立つところから始めてみてください。
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