音楽教室で生徒が続かない理由と、退会を減らす方法

音楽教室は月謝制なので、続けてもらうことが売上のほぼすべてです。月謝8,000円の生徒が1年続けば96,000円。3ヶ月でやめる生徒を10人集めるより、3年続く生徒を2人作るほうが強い。

それなのに、多くの教室が新規集客に時間を使い、退会対策には何もしていません。退会を減らす施策には広告費がかからないので、費用対効果はこちらのほうが圧倒的です。

やめる理由は、5つに分かれる

「忙しくなったので」と言われることが多いのですが、それは表向きの理由であることがほとんどです。実際の原因はこの5つに分かれます。

1. 上達している実感がない

いちばん多い理由です。本人は毎週やっているので、変化に気づけません。実際には伸びていても、感じられなければ同じことになります。

2. 練習していないので、行きづらい

これも非常に多い。1週間練習できなかった。気まずいから休む。2週続けて休むと、そのまま来なくなる。教室側が思っている以上に、この心理は強いです。

3. 目標がない

何のために続けているか分からなくなる。発表会が年1回だと、終わった直後に気が抜けます。

4. 生活が変わった

進学、部活、転職、引っ越し。これは防げないものもありますが、時間帯を変えれば続けられたケースも多いです。

5. 相性

指導方針が合わない。これは早めに分かったほうがお互いのためです。

それぞれへの手当て

上達を、見えるようにする

録音がいちばん効きます。3ヶ月ごとに同じ曲を録って、前の音源と並べて聞かせる。「こんなに違うんですね」と本人が驚きます。

子どもの場合は、保護者に聞かせるほうが重要です。月謝を払っているのは保護者で、やめる判断をするのも保護者だからです。

「練習できなかった週こそ来てください」と最初に言う

入会時に、必ず伝えてください。この一言があるかないかで、休会率が変わります。

そして実際に、練習してこなかった回のレッスンを責めないこと。1回でも嫌な思いをすると、次から来なくなります。

小さな目標を、月単位で置く

発表会は年1回でも、「今月中にこの8小節」のような目標があると、達成の回数が増えます。人は達成しているときにやめません。

目標は本人に選ばせるとさらに効きます。弾きたい曲がある人は、そこに向かっているうちは続きます。

生活の変化には、枠で対応する

「部活が始まって時間が合わない」と言われたとき、やめる前に別の枠を提案してください。本人はやめるしかないと思い込んでいることが多いです。

  • 時間帯を変える
  • 隔週にする
  • 一時休会にして、席を残す

「休会」という選択肢を用意しているかどうかは大きいです。やめると席がなくなると思うと、逆に戻りにくくなります。

やめる前に出るサイン

突然やめる人は少なく、たいてい前兆があります。

  • 欠席や振替が増える
  • 練習してこない回が続く
  • レッスン中の反応が薄くなる
  • 保護者からの連絡が事務的になる

ここで「最近どうですか」と一度声をかけるだけで、戻ることがあります。困っていることを言い出せないまま、フェードアウトする人が多いからです。

やめた人を追いかけない

退会の意思を伝えられたら、引き止めすぎないでください。気持ちよくやめてもらったほうが、戻ってくる可能性が残ります。

そして紹介も、やめた生徒から来ることがあります。「いい先生だったよ」と言ってもらえる別れ方をしておくほうが、長い目で見て得です。

数字で見る

感覚ではなく、記録してください。見るのは2つで足ります。

  • 在籍数:毎月末の人数
  • 退会数:その月にやめた人数と、在籍していた期間

「入会から何ヶ月でやめる人が多いか」が見えると、手を打つタイミングが分かります。3ヶ月目に多いなら、最初の3ヶ月の設計に原因があります。

最初の3ヶ月が、いちばん危ない

退会が集中するのは、入会から3ヶ月前後です。理由は明確で、この時期は上達が実感しにくいからです。

最初は覚えることが多く、できないことばかりが目につきます。ここを越えると、弾ける曲が増えて楽しくなる。越える前にやめてしまう人が多い。

だから最初の3ヶ月は、意識的に手をかけます。

  • 初回に録音しておく(後で比較するため)
  • 1ヶ月目から、簡単でも「1曲弾けた」を作る
  • 2ヶ月目に「最初と比べてここが変わりました」と具体的に伝える
  • 3ヶ月目に、次の目標を一緒に決める

保護者との接点を切らさない

子どもの生徒の場合、やめる判断をするのは保護者です。それなのに、保護者と話す機会がほとんどない教室が多い。

送り迎えのときに一言、が難しいなら、月1回でも記録を渡してください。手書きのメモでも、LINEの短文でも構いません。

  • 今月やったこと
  • できるようになったこと
  • 来月の目標

「月謝を払っている実感」が持てるかどうかで、継続が変わります。

休会という選択肢を用意する

やめる理由が一時的なものなら、休会で残せます。

  • 受験期間だけ休む
  • 仕事が忙しい時期だけ隔週にする
  • 数ヶ月休んで、席は残しておく

「やめる」と「続ける」の二択しかないと、多くの人はやめるほうを選びます。間の選択肢を用意しておくだけで、戻ってくる人が増えます。

休会中の扱い(席の確保、休会費の有無、期限)は、あらかじめ決めて紙にしておいてください。

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