ライブハウスの平日が埋まらない理由と、箱側でできる集客
金土は埋まるのに、平日が埋まらない。多くのライブハウスが抱えている状態です。
ここで「出演するバンドが集客してくれない」と考えると、打ち手がなくなります。バンドの集客力は箱側でコントロールできない変数だからです。動かせるところから見ていきます。
平日が埋まらない構造
平日のブッキングは、埋めることが目的になりがちです。空き枠を埋めるために、動員が読めないバンドも入れる。すると、こうなります。
- 出演者は増えるが、1組あたりの動員は減る
- ノルマで赤字を回避するので、出演者の不満が溜まる
- お客さんから見ると「誰が出ているか分からない日」になる
枠を埋めた結果、箱の平日が「行く理由のない日」になっている。これが構造です。
箱側で動かせる3つ
1. ブッキングの基準を書く
「良さそうだから」で決めていると、毎回条件が変わります。基準を紙に書いてください。
- 過去の動員実績(自己申告ではなく、他の箱での実数)
- 告知をどのくらいの頻度で出しているか
- その日のほかの出演者と、客層が近いか
3つ目が抜けがちです。客層がバラバラの対バンは、お互いの客が帰るだけで、誰の得にもなりません。
2. 箱そのもののファンを作る
お客さんは「バンドを見に来ている」のであって、箱を選んでいるわけではありません。ここを変えられると、平日の底が上がります。
やることは地味です。箱のアカウントで、出演者の紹介を出す。当日の様子を出す。次に何があるかを出す。「この箱が出す情報は面白い」と思われる状態を作ると、出演者を知らない人が来はじめます。
ここは音楽教室の集客と同じで、来た人の連絡先を残せるかどうかで積み上がり方が変わります。
3. 平日の使い方そのものを変える
ライブで埋めることにこだわらないほうが、平日は動きます。
- 時間貸し:配信、撮影、発表会、社内イベント
- 企画もの:箱主催のイベント。出演者を箱が選ぶので客層を揃えられる
- 練習利用:ステージリハとして安く開放する
ライブ1本で赤字を出すより、時間貸しで確実に埋めたほうが利益は残ります。
見る数字は3つでいい
- 稼働率:月の営業日のうち、何日埋まったか
- 1公演あたりの来場者数:本数ではなく、1本の中身
- ドリンク・物販の1人あたり単価:入場料以外で、いくら落ちているか
本数だけを追うと、赤字の日を増やして忙しくなります。2番と3番が上がっているかで判断してください。
出演者に渡せるものを持つ
選ばれる箱は、出演者に「集客の材料」を渡しています。
- 告知に使える会場写真とロゴ
- アクセス案内のテンプレート
- 過去のライブ写真・映像
毎回バンド側が作っているものを箱が用意しておくだけで、告知の質が上がります。結果として動員が増えるので、箱の売上に返ってきます。
よくある質問
ノルマをなくすべきですか
なくすかどうかより、何に対する対価なのかを説明できるかです。機材、人件費、場所。内訳を出せる箱は、金額が高くても納得されます。出せないと「取られている」と受け取られます。
平日に企画を打っても人が来ません
企画の中身より、告知の期間が短いことが多いです。平日に来てもらうには予定を空けてもらう必要があるので、最低1ヶ月前から動かしてください。
SNSは何を出せばいいですか
出演者の告知をそのまま流すだけでは、フォローする理由がありません。箱の人が書いた言葉を混ぜてください。どこが良かったか、次は何をやるか。それが箱のファンを作ります。
近隣と組むと、平日が動きやすい
箱だけで平日を埋めようとすると、打ち手が限られます。同じ地域で音楽に関わっている相手と組むほうが早いです。
- 音楽教室:発表会の会場として。年1回でも、単価が高く確実に埋まります
- リハーサルスタジオ:ステージで音を出したい層を相互に紹介する
- 楽器店:試奏イベント、メーカーの体験会。機材メーカーが費用を出すこともあります
- 専門学校・大学の軽音:定期的な発表の場として、年間の枠で押さえてもらう
いずれも「日程が先に決まる」のが利点です。直前のブッキングで埋める運営から抜けられます。
予約と当日の摩擦を減らす
初めて来る人にとって、ライブハウスは分からないことが多い場所です。ここで来場をやめる人がいます。
- 予約が要るのか、当日でも入れるのか
- ドリンク代は別なのか、いくらか
- 途中入場・途中退場ができるのか
- 何時に行けば目当てのバンドが見られるのか
最後は特に大きいです。タイムテーブルを事前に出す箱と、出さない箱では、初見の来場率が変わります。「1組目から3時間いないといけないなら行かない」と判断されているからです。

