フランチャイズ加盟店の商圏の見方【半径3kmを疑うところから】
本部から渡される商圏図は、たいてい店舗を中心にした円です。半径3km、あるいは5km。開業前の見込みを立てるには十分ですが、開業してからの集客をこの円で考えると、必ずずれます。
お客さんは円で来ない
実際の来店範囲は、いくつもの理由で歪みます。
- 線路と川:地図上は近くても、渡る手段がなければ遠い場所です
- 幹線道路:車で来る商圏では、道路沿いに細長く伸びます
- 競合店の位置:同業が間にあると、そこで削られます
- 生活動線:職場と家の間にあるかどうかで、来店率が変わります
円で考えていると、来ない方向にチラシを撒き、来ない地域に広告を配信することになります。予算の半分が無駄になっていることも珍しくありません。
自分の商圏を知る方法
特別なツールは要りません。3つのどれかで足ります。
1. 会計時に一言聞く
「どのあたりからお越しですか」。これだけです。毎回でなくて構いません。1日5人でも、1ヶ月で100件以上のデータになります。
2. 会員情報を集計する
ポイントカードや会員登録で住所を取っているなら、郵便番号の上3桁で集計します。どの地域が多いか、すぐに見えます。
3. 地図に印を打つ
紙の地図でも、Googleマイマップでも構いません。来店客の住所に印を打っていくと、2〜3ヶ月で偏りがはっきり出ます。
分かったあと、何を変えるか
- チラシの配布範囲:来ている方向に厚く、来ていない方向は止める
- Web広告の配信エリア:円ではなく、実際の市区町村で指定する
- Googleビジネスプロフィール:来店の多い地域名を、投稿や説明文に自然に入れる
- 営業時間:職場帰りの来店が多いなら、夜を延ばす価値があります
予算を増やさずに、同じ費用の効きを変えられる。これが商圏を数字で見ることの意味です。
本部の数字をそのまま使わない
本部が持っているのは、全国平均か、モデル店舗の数字です。あなたの店の前に何があるかまでは反映されていません。
本部の数字は仮説として使い、自分の店の実測で上書きしてください。実測を持っている加盟店は、本部への相談も通りやすくなります。「うちの商圏はこうなっているので」と言えるからです。
商圏が狭い店と、広い店
同じブランドでも、店によって商圏の広さはまるで違います。決めるのは主にこの2つです。
- 来店の頻度:週に何度も来る業態ほど商圏は狭く、年に数回の業態ほど広くなります
- 代わりがあるか:近所に同業が多いほど狭く、少ないほど広くなります
コンビニやカフェのように日常的に使う店は、徒歩や自転車の範囲が中心です。一方で、専門性の高いサービスや高額商品は、車で30分かけてでも来ます。自分の業態がどちらかで、撒く範囲の考え方が変わります。
商圏の外から来ている人を、無視しない
集計していると、明らかに遠い場所から来ている人が一定数いることに気づきます。ここを「例外」で片付けないでください。
遠くから来る理由は必ずあります。職場が近い、通り道、家族が近所に住んでいる、あるいは近所に代わりの店がない。最後の理由なら、その地域は狙う価値があります。
聞き方は簡単です。「遠くからありがとうございます、何かきっかけがあったんですか」。これで、自分では気づいていなかった強みが分かることがあります。
季節で商圏は動く
雪が降る地域では、冬に商圏が縮みます。夏休みや連休は、普段来ない層が動きます。年間を通じて同じ範囲で考えないほうがいいのはこのためです。
1年分のデータが溜まると、この動きが見えてきます。だから集計は止めずに続けてください。3ヶ月では傾向、1年でパターンが見えます。
集計を続けるコツ
いちばん多い失敗は、始めて2週間で止まることです。やり方を軽くしておくのが、続ける唯一の方法です。
- 紙1枚をレジ横に置き、地域名を正の字で足していくだけにする
- 全員に聞かない。聞けたときだけで構いません
- 月末にまとめようとしない。その場で線を1本引くだけ
完璧な集計より、粗くても1年続いた記録のほうが役に立ちます。
この数字で判断できるようになること
商圏が見えると、それまで迷っていたことが決められるようになります。
- チラシを何部刷るか、どこに撒くか
- 広告の配信範囲をどこまで広げるか
- 2店舗目を出すなら、どの方向か
- 本部からエリアの相談を受けたとき、根拠を持って答えられるか
感覚で決めていたことに、根拠がつく。これが一番大きな変化です。
まとめ
商圏は、本部から渡された円ではなく、実際に来ている人の分布です。会計時の一言から始めて、3ヶ月で傾向、1年でパターンが見えます。
予算を増やさずに、同じ費用の効きを変えられる。加盟店が最初に手を付けるべきなのは、ここだと思います。
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