EC・通販サイトのROAS改善ガイド【Google広告・Meta広告の最適化方法】

ECのROASを改善するときは、先に粗利から「赤字にならないROAS」を出します。そのうえで、計測のズレを確認し、売れる商品へ予算を寄せ、商品ページを直します。配信の設定を触るのは、この順番のあとです。

Meta広告でROASが下がったときも同じです。管理画面の数字だけを見て設定を変える前に、実際の売上と合っているかを確かめましょう。

ROASとは。計算式と目標の決め方

ROAS(Return On Ad Spend)は、広告費に対してどれだけ売上があったかを示す指標です。

ROAS(%)=広告経由の売上÷広告費×100

月10万円の広告費で50万円売れたら、ROASは500%です。

ただし、ROASが高くても利益が出ているとは限りません。粗利率によって、赤字にならないラインが変わるからです。赤字にならないROASは「100÷粗利率」で出せます。

粗利率赤字にならないROAS広告費10万円で必要な売上
30%約334%約34万円
40%250%25万円
50%200%20万円
60%約167%約17万円

ここで使う粗利は、原価だけでなく、送料、決済手数料、モール手数料、梱包費まで引いた金額にしましょう。これらを引き忘れると、黒字に見えて手元にお金が残らない状態になります。

たとえば粗利率50%でROAS300%なら、広告費10万円で売上30万円、粗利15万円です。広告費を引いた5万円が残ります。ここから人件費や家賃などの固定費を払うので、目標は赤字にならないラインより上に置きます。

改善の前に、ROASの数字が正しいかを確かめる

広告の管理画面に出るROASは、実際の売上とずれることがあります。Google広告とMeta広告の両方を使っていると、同じ1件の購入を両方が自分の成果として数えることもあります。

月に1回、次の数字を並べて見ましょう。

見る数字計算分かること
媒体ごとのROAS媒体が報告した売上÷その媒体の広告費媒体の中でどの配信がよいか
全体のROASショップの総売上÷全媒体の広告費広告費を含めて店全体が合っているか

媒体のROASが上がっているのに全体のROASが動かないなら、広告がなくても買っていた人まで数えている可能性があります。

計測そのものの確認も必要です。購入完了の計測が二重に入っていないか、注文金額が正しく送られているかを、テスト注文や注文データとの照合で確かめます。Meta広告では、ブラウザのピクセルに加えてコンバージョンAPIも使うと、計測の抜けを減らせます。

ROASが低い4つの原因と改善策

原因1:商品データが整っていない

Googleのショッピング広告は、商品データの内容をもとに表示されます。データが薄いと、探している人の検索に合いにくくなります。

  • 商品名:ブランド名、商品名、素材、サイズなど、探す人が使う言葉を入れる
  • 商品説明:用途や特徴を、実物に合わせて具体的に書く
  • 画像:商品がはっきり分かる写真を使う。文字やロゴを重ねない
  • 価格と在庫:商品ページと一致させ、常に最新にする

細かい条件はGoogleのMerchant Centerのヘルプで確認してください。

原因2:全商品に同じ予算を使っている

すべての商品を同じ条件で配信すると、利益の小さい商品に予算が流れることがあります。売上ではなく、粗利で商品を分けましょう。

  1. 商品ごとに、粗利率と赤字にならないROASを出す
  2. 直近の広告費と売上を商品別に並べる
  3. 目標を超えている商品群へ予算を寄せる
  4. 目標を下回る商品は、価格、商品ページ、配信のどれが原因かを見てから止めるか決める

クリックが少ない商品は、まだ良し悪しを判断できません。数字が少ないうちに止めないようにしましょう。

原因3:買いかけた人に広告を出せていない

カートに入れた人や商品ページを見た人は、興味がはっきりしています。Google広告とMeta広告のリマーケティングで、閲覧した商品を見せましょう。

ただし、リマーケティングのROASは高く出やすい点に注意してください。広告がなくても買っていた人が含まれるからです。予算を大きく寄せる前に、全体のROASが一緒に上がるかを確認しましょう。

原因4:商品ページで止まっている

広告をいくら直しても、クリックした先で買われなければROASは上がりません。次の項目を確認します。

  • 全角度、使用シーン、サイズ感の分かる写真がある
  • レビューが購入を迷う位置に表示されている
  • 購入ボタンがスマホですぐ見つかる
  • 送料、配送日数、返品条件が購入前に分かる

レビューを載せるときは、悪い内容を隠して良いものだけを選ぶ見せ方は避けましょう。

ROASは「客単価」でも変わる

ROASは、次の式に分けられます。

ROAS(%)=客単価×購入率÷クリック単価×100

客単価5,000円、購入率2%、クリック単価50円なら、ROASは200%です。ここで客単価が6,000円になれば、ROASは240%に上がります。広告の設定を変えなくても、次の方法で上げられます。

  • 一緒に買うとよい商品を、カートの前で案内する
  • セット商品を用意する
  • 送料無料になる金額を、よくある注文額の少し上に設定する

また、初回の購入だけで判断すると、リピートの多い商品では広告を絞りすぎることがあります。消耗品や定期購入がある店は、LTVの計算方法と広告予算への活用も見て、初回でどこまで広告費をかけるかを決めましょう。

Meta広告でECのROASを改善する方法

Meta広告では、次の順に確認します。

  1. 計測:ピクセルとコンバージョンAPIで、購入と金額が正しく届いているかを確かめる
  2. 学習:頻繁に設定を変えていないかを見る。変更を重ねると配信が安定しにくくなります
  3. クリエイティブ:同じ広告が繰り返し表示されていないかを見る。使用シーン、悩み、レビューなど切り口の違う広告を用意する
  4. 配信先:カタログ広告で閲覧商品やカート商品を見せる。購入者リストをもとにした類似オーディエンスで、新しいお客さんへ広げる
  5. 自動化:Advantage+の販売キャンペーン(旧称はショッピングキャンペーン)を試す。既存のお客さんがどれだけ含まれるかも見る

ターゲティングの考え方は、Meta広告のターゲティング解説で詳しく書いています。

広告費に対して何件売れれば元が取れるのかは、広告費の損益計算機で確かめられます。

まとめ

  1. 粗利から、赤字にならないROASを出す
  2. 媒体の数字と全体の数字を並べて、計測のズレを確かめる
  3. 粗利で商品を分け、目標を超える商品へ予算を寄せる
  4. 買いかけた人への配信と、商品ページを直す
  5. 客単価を上げる方法も合わせて考える

よくある質問

ROASの目安はどのくらいですか?

業種で一律には決まりません。自社の粗利率から赤字にならないROASを出し、固定費を払える分を上乗せして決めます。粗利率50%なら、赤字にならないラインは200%です。

ROASとROIは何が違いますか?

ROASは広告費に対する売上を見ます。ROIは投資に対する利益を見ます。ROASが高くても粗利が小さければ、ROIは低くなることがあります。

Meta広告のROASが急に下がったら、まず何を見ますか?

最初に、計測が止まっていないかと実際の売上を確かめます。売上も減っているなら、同じ広告の表示回数が増えていないか、直前に設定を変えていないか、商品ページや在庫に変化がないかの順に確認します。

ROASが低い商品の広告はすぐ止めるべきですか?

クリックが少ないうちは止めません。十分にクリックが集まっても目標を下回るなら、価格や商品ページを確認し、それでも改善しなければ予算を減らします。

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