契約書を渡されて、その場の空気で読まずにサインしてしまう。これがいちばん多い失敗です。
全部を理解する必要はありません。次の5か所だけ先に読んでください。トラブルはほぼここに集中します。
1. 契約期間と自動更新
何年契約なのか。そして自動更新の条項があるか。
「期間満了の◯日前までに申し出がない場合、同一条件で更新される」という一文があると、忘れているうちに次の年が始まります。更新を止めたい場合に、いつまでに、どういう方法で伝える必要があるのかまで確認してください。
口頭でいいのか、書面が必要なのか。ここが書いていない契約書は、その時点で相手に聞いてください。
2. 途中でやめるときの条件
報酬より先に読むべき場所です。
- 途中解約はできるか。できる場合、何日前に伝えるか
- 違約金は発生するか。発生するなら金額または計算方法
- やめたあと、一定期間は同種の活動ができないという条項(競業避止)はあるか
- やめたあと、それまでの写真はどうなるか
「辞めるときは違約金200万円」のような条項は、読めば気づきます。読む時間をくれない相手は、そこに理由があります。
3. 写真・映像の使用範囲
撮った写真がどこまで使われるのか。ここが広すぎる契約が意外と多いです。
確認するのは4点です。媒体(Webだけか、紙も含むか、広告に使うか)、期間(契約終了後も使い続けられるか)、地域(国内のみか、海外も含むか)、第三者への提供(他社に渡す可能性があるか)。
「あらゆる媒体において、期間の定めなく、無償で使用できる」という書き方になっていたら、意味を必ず確認してください。契約が終わっても写真は使われ続ける、ということです。
4. 報酬の金額と支払日
金額だけでなく、いつ、どうやって払われるかまで書かれているかを見ます。
「月末締め翌月末払い」のように具体的な日付があるか。交通費や衣装代は自己負担か。源泉徴収はされるのか。ここが曖昧なままだと、「まだ入ってない」を毎回こちらから催促することになります。
報酬が発生しない契約(実績づくりのみ)なら、それはそれで構いません。ただしその旨が書面に書いてあるかは確認してください。書いていない=あとで揉めます。
5. 費用の負担がどちらか
レッスン料、宣材写真の撮影費、登録管理費。こうした項目が契約書の中にまぎれていないかを見ます。
本文ではなく、末尾の「別紙」「料金表」に書かれていることがあります。別紙まで全部見せてもらってください。「あとで渡します」と言われたら、それが揃うまでサインしないでください。
口頭の説明と書面が違うとき
「そこは形式的なもので、実際には適用しません」と言われることがあります。この説明は信用しないでください。
揉めたときに効くのは書面のほうです。本当に適用しないなら、その条項を消してもらうか、覚書として書面に残してもらってください。口頭の約束は、言った言わないになります。
「じゃあその部分を消していただけますか」と言ったときの反応で、相手の姿勢がわかります。
署名する前の最終チェック
- 空欄のままの箇所がないか(あとから書き足される余地を残さない)
- 別紙・料金表・規約がすべて手元にあるか
- 契約書の控えをもらえるか
- 相手の会社名・所在地・代表者名が記載されているか
- 金額の桁が説明どおりか
空欄のままサインするのは避けてください。斜線を引いてもらうか、埋めてもらってから署名するのが基本です。
未成年の場合
18歳未満の場合、契約には保護者の同意が必要になるのが原則です。同意なしで進めようとする相手は、その時点で不適切です。
Pasha!の読者モデル登録は18歳以上を対象としています。
読む時間をもらう言い方
その場で全部読むのは現実的ではありません。こう言って構いません。
「持ち帰って読ませてください。◯日までにお返事します。」
これを断る相手は、内容にかかわらず避けたほうがいいです。まっとうな相手なら、むしろ丁寧に読んでほしいと考えます。
サインしてしまったあとでも
すでにサインしていても、諦める必要はありません。
契約の内容や結び方によっては、あとから取り消せる場合があります。金銭が絡む契約で困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、住んでいる地域の消費生活センターにつながります。契約書とやり取りの記録を手元に用意して相談してください。
報酬の記載でよく揉める点
金額そのものより、周辺の取り決めで揉めます。あらかじめ確認しておくと安全です。
- 交通費は誰が負担するか。上限はあるか
- 衣装やメイクの費用はどちらが持つか
- 撮影が延びた場合、追加の支払いはあるか
- キャンセルになった場合の扱い(相手都合・自己都合それぞれ)
- 源泉徴収されるか。手取りはいくらになるか
とくに相手都合のキャンセルは書かれていないことが多い項目です。前日に中止になって、交通費だけ自腹、というのを避けられます。
契約書がない場合はどうするか
個人同士の撮影では、書面を交わさないことのほうが多いです。それ自体は問題ありません。
ただし、メッセージのやり取りは契約書の代わりになります。条件を確認した文面を消さずに残しておいてください。日時・場所・内容・報酬・写真の扱い。この5つが文字で残っていれば、実務上は十分機能します。
そもそも契約を結ばない選択肢
「実績を作りたいだけ」の段階なら、契約が必要ない形から始める手もあります。
Pasha!の読者モデル登録は専属契約ではありません。他の事務所やオーディションとの掛け持ちは自由で、掲載をやめたくなったら連絡ひとつで取り下げます。掲載範囲はPasha!のサイトと公式SNSのみで、事前の同意なく他では使いません。まず条件が明確な場所で1件目を作り、契約の話はそのあとで判断しても遅くありません。
よくある質問
モデルの契約書で最初に読むべきところはどこですか?
報酬より先に「途中でやめるときの条件」を読んでください。解約の可否、違約金の有無と金額、やめたあとの活動制限、それまでの写真の扱い。この4点にトラブルが集中します。
写真の使用範囲はどこを確認すればいいですか?
媒体、期間、地域、第三者への提供の4点です。「あらゆる媒体において期間の定めなく無償で使用できる」という書き方の場合、契約終了後も使われ続けることを意味します。
契約書を持ち帰りたいと言ってもいいですか?
問題ありません。「持ち帰って読ませてください、◯日までにお返事します」で十分です。これを断る相手は内容にかかわらず避けたほうが安全です。
すでにサインしてしまった場合はどうなりますか?
契約の内容や結び方によっては、あとから取り消せる場合があります。消費者ホットライン188に電話すると地域の消費生活センターにつながります。契約書とやり取りの記録を用意して相談してください。