LTV(顧客生涯価値)の計算方法と広告予算への活用【中小企業向け解説】
LTV(顧客生涯価値)は「平均購入単価×購入頻度×継続期間」で計算します。広告費の判断には、そこに粗利率を掛けた粗利LTVを使いましょう。月額3万円・平均12か月・粗利率60%なら、粗利LTVは21.6万円です。この金額の範囲で、1人の獲得に使う広告費を決めます。
LTVとは何か
LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)とは、1人のお客さんが利用を始めてから終えるまでの間に、どれだけの価値をもたらすかを示す指標です。
LTVが分かると、「1人の新規客を獲得するのにいくらまで広告費をかけていいか」を数字で判断できるようになります。初回の売上だけで判断すると、本当は採算が合う広告を止めてしまうことがあります。
LTVの計算方法
基本の計算式
LTV = 平均購入単価 × 購入頻度 × 顧客継続期間
具体例
業種別に計算すると、次のようになります。金額はいずれも説明用の例です。
| ビジネス | 条件 | 売上のLTV |
|---|---|---|
| 月額のコーチング | 月3万円、平均12か月 | 3万円×12か月=36万円 |
| リピート型のサービス | 1件2万円、年3回、平均3年 | 2万円×3回×3年=18万円 |
| 地域のお店 | 客単価3,000円、年6回、平均2年 | 3,000円×6回×2年=3.6万円 |
継続期間が分からないときは
月額サービスなら、解約率から平均の継続期間を出せます。計算式は「1÷月の解約率」です。月の解約率が5%なら、1÷0.05で平均20か月です。
来店型のお店は、顧客台帳やレジのデータから、過去1〜2年に初めて来た人が何回来ているかを数えます。データが少なければ、控えめな数字で計算しましょう。常連の数字だけを使うと、LTVが高く出すぎてしまいます。
粗利ベースのLTV
広告予算の判断には、売上ベースよりも粗利ベースのLTVを使うほうが正確です。売上がそのまま手元に残るわけではないからです。
例:LTV(売上)が36万円、粗利率60%の場合、LTV(粗利)は36万円×60%=21.6万円です。
LTVを使った目標CPA(許容CPA)の設定
計算の考え方
CPAは、新規客1人を獲得するのにかかった費用です。「1人のお客さんから得られる粗利の何%まで獲得費用に使えるか」を決めます。
一般的には粗利LTVの10〜30%が目標CPAの目安です。業種や手元の資金によって変わるので、最初は低めに設定しましょう。
例:粗利LTVが21.6万円、目標CPAを粗利LTVの15%とする場合、21.6万円×15%=32,400円です。
この場合、1人の新規客を32,400円以下で獲得できれば採算が合うと判断できます。問い合わせのうち成約するのが3人に1人なら、問い合わせ1件あたりに使えるのは10,800円です。
広告費の決め方
目標CPAが決まれば、月の広告費も決まります。計算は次の順番です。
- 粗利LTVを計算する(例:21.6万円)
- 目標CPAを決める(例:32,400円)
- 月の新規客の目標人数を掛ける(例:10人)
- 月の広告費を出す(例:32,400円×10人=32.4万円)
ここで資金繰りも確認します。月3万円・粗利率60%なら、1人から毎月入る粗利は1.8万円です。32,400円を回収するのに約2か月かかるので、その間の資金を用意しておく必要があります。
地域のお店の例でも計算してみます。売上のLTVが3.6万円で粗利率65%なら、粗利LTVは23,400円です。その25%を目標CPAにすると、1人あたり5,850円です。自社の数字で試すときは、広告費の元を取るのに必要な人数が分かる計算機を使うと、すぐに確かめられます。
実際のCPAが目標を超えるときの直し方はCPAが改善しないときの記事、広告全体の見直しはリスティング広告の費用対効果を高める方法を参考にしてください。
LTVを高める施策
LTVを高めると、同じCPAでも利益に余裕が生まれ、競合より多くの広告費をかけられるようになります。
1. 継続率を高める
定期的なフォローアップ、成果の報告、コミュニティ作りで継続期間を延ばします。やめた人に理由を聞くと、最初に直す場所が分かります。
2. 単価を上げる(アップセル・クロスセル)
既存のお客さんに、より価値の高いサービスを提案します。月額プランの上位版や、関連する商品の案内が該当します。
3. 紹介・口コミを促進する
1人のお客さんが別のお客さんを紹介してくれれば、そのぶん獲得費用がかからず、利益が増えます。紹介してほしいタイミングと、頼み方を決めておきましょう。リピートの作り方はリピーターを増やすマーケティング戦略で詳しく説明しています。
LTVが低い場合の注意点
単発の取引や低単価のビジネスでは、広告費に使える金額が限られます。この場合は次の方法を検討します。
- SEOやコンテンツマーケティングなど、費用の低い集客手段を活用する
- リピート購入や定期便など、ビジネスモデル自体を見直す
- 新規獲得より既存のお客さんのLTV向上に力を入れる
よくある質問
LTVの計算に必要な数字は何ですか?
平均購入単価、購入頻度、継続期間の3つです。広告費を判断するなら、粗利率も用意します。正確な数字がなければ、控えめな数字で計算し、データがたまってから更新しましょう。
LTVとCPAの理想の比率はありますか?
すべての業種に共通の正解はありません。この記事では、粗利LTVの10〜30%を目標CPAの目安としています。手元の資金が少ない場合や回収に時間がかかる場合は、低めに設定しましょう。
新規のお店でLTVのデータがないときはどうすればいいですか?
同じ商品を買った人の回数を数週間でも記録し、仮の数字を置いて計算します。継続期間は短めに見積もり、実績が出たら数字を更新しましょう。
LTVは売上と粗利のどちらで計算すべきですか?
広告費を決めるなら粗利で計算しましょう。売上で計算すると、原価を払った後に残らない金額まで広告に使ってしまうことがあります。
まとめ
LTVは「いくらまで広告費をかけていいか」を判断するための重要な指標です。LTVを計算し、粗利ベースで目標CPAを決めれば、感覚ではなく数字でマーケティング予算を管理できます。
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