【リフォーム・工務店向け】紹介依存と一括見積もりサイトから脱却するマーケティングのモデルケース
リフォーム会社が紹介と一括見積もりサイトへの依存を減らすには、施工事例ページ、検索広告、完工後のフォローの3つを、この順番で整えるのが近道です。一括見積もりサイトをすぐにやめる必要はありません。自社経由の問い合わせが増えた分だけ、少しずつ減らします。
この記事では、よくある規模のリフォーム会社を想定して、半年間の進め方を具体的な数字で説明します。
モデルケースの設定
以下は説明のために作った架空の設定で、実在の会社の実績ではありません。自社の数字に置き換えて読んでください。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 業態 | 神奈川の地域密着リフォーム会社(従業員5名・年商8,000万円) |
| 案件の入口 | 紹介が6割、SUUMOやホームプロなどの一括見積もりサイトが3割 |
| サイトにかかる費用 | 掲載費と成果報酬で月15〜20万円 |
| 困りごと | 複数社の見積もり競争で値引きを迫られることが多い |
| 予算 | 新しい予算は足さず、今のサイト費用を少しずつ振り替える |
| 目標 | 自社サイト経由の問い合わせを月3件以上で安定させる |
現状の課題:紹介と一括見積もりの両方に弱点がある
一括見積もりサイトは、最初から複数社を比べる前提の場所です。施工の質や対応の丁寧さが伝わる前に、金額で判断されやすくなります。問い合わせは来ても、値引きで利益が薄くなりがちです。
紹介は成約しやすい一方で、件数を自分で増やしにくい入口です。紹介してくれるお客様の事情で、月ごとの件数が大きく変わります。
| 入口 | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| 紹介 | 信頼された状態で話が始まる | 件数を自分で増やしにくい |
| 一括見積もりサイト | すぐに問い合わせが来る | 金額で比べられ、費用もかかり続ける |
| 自社サイトと検索広告 | 自社の強みを伝えてから問い合わせを受けられる | 形になるまで数か月かかる |
足りないのは3つ目の入口です。ここを作れば、問い合わせの数を自分で調整できるようになります。
施策1:施工事例ページを充実させる
最初に施工事例を整えるのは、広告の行き先にもなるからです。事例が少ないページに広告で人を集めても、問い合わせにつながりにくくなります。
- 完工のたびに施工事例を1件追加する(月1〜2件)
- 「キッチン」「外壁塗装」「水回り」など工事の種類でページを分ける
- 費用は「○○万円台」の目安でよいので必ず入れる(価格が見えないと問い合わせしにくいため)
- お客様の声は「工事前の悩み→選んだ理由→結果」の順で書く
新しい現場を待つと、事例はなかなか増えません。最初の1か月で、写真が残っている過去の現場を10件まとめて載せてください。その後に月1〜2件を足すと、半年で16〜22件になります。
1件の事例に載せる項目
- 工事の種類と地域(「横浜市 築25年戸建て キッチン交換」など)
- 工事前の悩み
- 工事前と工事後の写真
- 工事内容と工期
- 費用の目安
- 担当者の一言とお客様の声
写真や声を載せるときは、掲載の許可を書面でもらいます。住所が特定できる外観や表札は写さないようにしてください。お客様の声に謝礼を渡した場合は、広告であることが分かるように表示します。2023年10月からステルスマーケティングは景品表示法の規制対象です。
お客様の声の集め方と書き方はこちらの記事で解説しています。
施策2:Google広告で「今すぐ検討している人」を集める
リフォームは、必要になった人が地域名と工事名で検索します。検索広告なら、その人に直接案内を出せます。
- 「横浜 外壁塗装」「神奈川 キッチンリフォーム 費用」のように、地域と工事の種類で絞る
- 広告文には「地元で○年」「施工事例○件」「見積もり無料」など、実際の数字と条件を入れる
- 広告の行き先は工事の種類ごとに分け、施工事例、費用の目安、問い合わせフォームを1ページにまとめる
「地域No.1」のような表現は、客観的な根拠がないと景品表示法の問題になります。根拠を示せない言葉は使わないでください。
広告費がいくらまでなら元が取れるか
始める前に、1件の成約で残るお金から上限を決めます。モデルケースで計算してみましょう。
| 項目 | 数字(例) |
|---|---|
| 平均の工事金額 | 80万円 |
| 粗利率 | 30% |
| 1件あたりの粗利 | 24万円 |
| 広告費 | 月15万円 |
| 元が取れる成約数 | 月1件(15万円÷24万円=0.625件) |
問い合わせ3件のうち1件が成約すれば、広告費を払っても粗利が残ります。自社の数字は広告費の元が取れる件数の計算機で確かめられます。
Google広告の始め方はこちら、問い合わせにつながるページの作り方はこちらの完全ガイドを参考にしてください。
施策3:既存のお客様へのフォローで紹介を仕組みにする
案件の6割が紹介なのは大きな強みです。この紹介を、待つものから、声をかけて増やすものに変えます。
| 時期 | 連絡の内容 |
|---|---|
| 完工の直後 | お礼と、不具合があったときの連絡先 |
| 3か月後 | 使ってみて困っていることがないかの確認 |
| 6か月後 | 簡単な点検の案内 |
| 1年後 | 点検の案内と、次に手を入れる時期の目安 |
連絡は件数を決めて、毎月同じ担当者が同じ日に行うと続きます。そのうえで、次の2つを用意します。
- 紹介の特典を決め、完工時に書面で渡す(金額が大きい場合は景品表示法の範囲か確認する)
- Googleの口コミを依頼するQRコード付きのカードを、完工したお客様全員に渡す
口コミの依頼は全員に同じように行います。満足した人だけを選んで頼むことや、特典と引き換えに書いてもらうことは、Googleのポリシーで禁止されています。紹介の特典と口コミの依頼は、分けて案内してください。
口コミと紹介を増やす仕組みはこちらの記事で解説しています。
半年間の進め方
一度に全部を始めると、現場を回しながらでは続きません。月ごとに1つずつ進めます。
| 時期 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 過去の現場を事例として10件掲載する | 工事の種類ごとのページができる |
| 2か月目 | 一番利益が残る工事に絞って広告を始める | 1件の問い合わせにかかる費用が分かる |
| 3か月目 | 完工後のフォローの予定を決めて回し始める | 紹介と口コミの依頼が習慣になる |
| 4か月目 | 数字を見て、広告の言葉と行き先を直す | 問い合わせが月3件に近づく |
| 5〜6か月目 | 自社経由が安定したら、一括見積もりサイトの掲載を減らす | 費用の振り替えが進む |
6か月後に期待できる変化
施工事例が20件近くまで増えると、広告の行き先としても、検索で見つけてもらうページとしても使えるようになります。検索広告で月3件前後の問い合わせが安定すれば、一括見積もりサイトへの依存を減らせます。
自社の強みを知ったうえで問い合わせてくれる人は、値引きの話になりにくい傾向があります。感覚で判断せず、入口ごとに問い合わせ数、成約数、粗利を毎月記録して比べてください。この表があれば、どの費用を減らすかを数字で決められます。
よくある質問
一括見積もりサイトはすぐにやめるべきですか?
すぐにやめる必要はありません。自社の問い合わせがない状態でやめると、仕事が途切れます。自社経由が月3件前後で安定してから、掲載する地域や工事の種類を少しずつ減らしてください。
施工事例は何件あれば十分ですか?
まず工事の種類ごとに3件以上を目安にしてください。件数より、工事前の悩み、費用の目安、工事前後の写真がそろっているかが大事です。最初は写真が残っている過去の現場から載せると早く増やせます。
広告費は月にいくら必要ですか?
1件の成約で残る粗利から逆算します。粗利が24万円なら、月15万円の広告費は1件の成約で回収できます。最初は一番利益が残る工事と狭い地域に絞って、少額から始めてください。
口コミは満足してくれたお客様にだけ頼んでもいいですか?
選んで頼むのは避けてください。Googleのポリシーでは、肯定的な口コミだけを選んで集めることや、特典と引き換えに書いてもらうことが禁止されています。完工したお客様全員に同じように案内します。
まとめ
- 紹介と一括見積もりに加えて、自社サイトと検索広告という3つ目の入口を作る
- 順番は施工事例、検索広告、完工後のフォロー
- 一括見積もりサイトは、自社経由が安定してから少しずつ減らす
- 入口ごとの粗利を毎月記録して判断する
まず今週は、写真が残っている過去の現場を10件書き出すところから始めてください。
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